JAは信用・共済・経済事業など幅広い事業を展開していることから、その公共性も高く、一般企業以上にコンプライアンスの徹底が求められる。
全国のJAにおける不祥事は横領案件が多く、近年では共済不正契約等の不祥事も増加している。
近年、全国のJAで発生している不祥事は、一般職員、臨時職員等によるのもが全体の約7割を占めている。
共済締結時(契約者≠掛金負担者)において、実質の掛金負担者に説明を行い了承を得た場合、契約者には署名のみもらえば問題はない。
不祥事発生要素の「機会」について、職員同士が牽制をかけ、正規の事務手続きを遵守していくことが不正の機会の芽を摘む最適の手段となる。
職員が目標達成のために必要と判断し、契約締結をした場合は「不必要な共済契約」とはならない。
信用事業における個人情報漏えい事案が多く、紛失、誤交付、誤送付、誤廃棄など、定められたルールの不徹底等によるものが大半を占めている。
個人情報の持ち出しは、万が一の漏えいリスクを考慮し、必要最小限にすべきである。
インサイダー取引は、職員本人、その家族や知人も対象となるが、利益を目的に重要事実を伝達したとしても、売買が行わなければ問題はない。
上司や同僚の言動に対して「パワハラだ!」と過剰に反応する行為もハラスメントに該当する可能性がある。
ハラスメントは上司部下、同僚同士、男女間、誰もが「被害者」「行為者」となる可能性がある。
パワハラの判断基準は、業務上必要かつ相当な範囲であったかどうかが重要であり、相手方および行為者の主観は判断材料(客観的事実)とならない。
ヘルプライン制度は、組合内窓口(リスク統括課)、組合外窓口(山田徹法律事務所)、全国窓口(全国JAヘルプライン)と3つの通報窓口がある。
ヘルプラインの利用対象者は、嘱託・派遣・臨時・パート職員及び子会社の役職員を含むすべての職員である。
ヘルプライン制度は、通報者の保護や秘密の保持などを確保し、法令等違反や不正行為などの告発をしやすくするためのものである。