寒い冬に綺麗な紫の花蕾(からい)の“じゅうたん”が岐阜県岐阜市の畑一面を彩っています。その正体は、世界で唯一ここでしか生産・出荷されていない新品種「パープルリシャス」。カラフルなブロッコリーやスティックセニョールは火を通すと緑色になるが、「パープルリシャス」は、紫色で加熱しても色が抜けにくく、全体が柔らかくアスパラガスに近いような食感を持つのが特徴です。現在は、東海3県(愛知・岐阜・三重)のイオン約70店舗と三重県内のスーパー「サンシ」で、18㌢前後に揃えられた「パープルリシャス」が1袋100㌘入りで販売されています。
この珍しい野菜は、アメリカのオハイオ州出身の「リック・グラッツィーニ氏」が生育。「観賞用で調理しても色が抜けない食材を作りたい」と、2008年から赤キャベツと緑のブロッコリーをかけ合わせる研究を始めました。かけ合わせた1000本の株から高品質な株を選抜。この選抜を10年間続け、18年に「アントシアニン」の色素成分が強い「パープルリシャス」が開発されました。頂花蕾を摘除すると下から側枝が伸びてきて、18㌢前後に成長したものを収穫します。2023年には日本に次ぎ、オーストラリアで試験栽培が始められているそうです。
「パープルリシャス」の栽培方法の確立と高値での市場取引を可能にするためJAぎふとJA全農岐阜が岐阜市のブランド化に向けて、協力体制の強化を図ります。
1月12日は、「パープルリシャス」の生産者である加藤哲也さんの圃場(ほじょう)を、生育者のリック氏が訪れ、収穫・出荷前の「パープルリシャス」を視察。通訳を交えて加藤さんが品質確認や栽培について尋ねると、「Wonderful!」と一言。「想像していたより、美しく素晴らしいできだ」と褒めたたえました。
写真=リック氏(右)と意見交換をする加藤さん、通訳の松井識樹さん(左)
写真=リック氏と意見を交わす加藤夫婦
写真=出荷目前のパープルリシャス