一度は生産が途絶えてしまったとされていた幻のトウガラシ『徳山とうがらし』の出荷が、JAぎふのおんさい広場真正などの直売所で始まりました。2019年5月に設立された本巣市の“徳山とうがらし連絡協議会”では、一般のトウガラシの1.6倍あると分析された“辛さ”を活かした特産化と地域活性を、地域・本巣市・JAと連携して進めています。
徳山とうがらしは、岐阜県揖斐川町の徳山ダムが建設され湖底に沈んだ旧徳山村で栽培され、ダムの完成とともに途絶えてしまったとされていた幻の激辛のトウガラシ。市販の一味唐辛子の約1.6倍の辛さがある(カプサイシンが含まれる)という分析結果(日本食品分析センター調べ)もあります。一口かじると「辛いというより痛い」ほどの辛みがやってきますが、その中にもうまみも感じられる逸品です。一般の唐辛子よりも大きく、生の状態では7~10cmにもなります。中山間地域である根尾能郷地域ではシカやイノシシ、サルの獣害に農家が悩まされ続けていますが、徳山とうがらしだけはその辛さもあってか、野生鳥獣の食害が少ないということです。
今年5月に協議会が設立され、本格的に特産化に向けて動き始めました。JAぎふの地域活動支援基金(みのっ太基金)を活用し購入した乾燥機を活用し、加工品の開発にも挑戦していく計画です。また地理的表示(GI)保護制度取得もすすめており、地域の新たな自慢として成長させていこうと、様座な取り組みが計画されています。
協議会では、17人の生産者が約15aで栽培しています。これまでの生育は順調に進んでおり、その特徴である辛さや旨みは十分に仕上がりました。10月中旬まで収穫を行い、青トウガラシ・トウガラシ・乾燥の3種類を約1トン出荷する見込みとなっています。しかし、最適な栽培方法が確立されていないため、気温の変化や水管理によっても収量や品質に変化があり、今後も研究を進めていき、増産を図っていくということです。
6日に開催された協議会初の目揃え会には、生産者15人が参加し、今後の管理や栽培のポイントを学ぶとともに、出荷時の注意事項や方法などの統一をはかりました。規格に合わないトウガラシも加工用として集荷され、昨年発売して好評であった激辛の飴や新たな加工品の開発に利用されるということです。
徳山とうがらしは、JAぎふおんさい広場真正などに、10月中旬まで出荷される予定です。その後、乾燥や加工された商品も販売される予定です。
写真=出荷規格を確認し、特産化へ意気込む生産者ら